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働き方

介護職は子育て・家族介護と両立できる?——「制度がある」と「使える」は別問題

「子育てしながら、あるいは親の介護をしながら、介護の仕事を続けられるだろうか」——そんな不安を抱えて職場を探す人に向けて、短くまとめます。わたしは介護職の転職サポートの仕事をしていて、両立の相談ではいつも「制度があるか」より「制度が使えるか」を見てほしいと伝えています。求人票の“制度あり”は、そのまま安心にはなりません。

先に結論令和6年度の調査で、勤務先の両立支援制度を「活用しやすい」と答えた人は19.7%=約2割にとどまります。制度が「ある」ことと「使える」ことは別。実際、活用しやすい職場では「仕事を続けられると思う」人が46.3%まで上がる一方、代わりに担当してくれる職員がいない職場では29.7%に下がります。だから見るべきは制度の有無より、その制度を回せる人手があるかです。

「制度あり」の求人が、両立できる職場とは限らない

両立支援の制度——育児・介護休業や短時間勤務などは、法律に基づいて多くの職場に存在します。だから求人票に「各種制度あり」と書いてあること自体は、珍しくない。問題は、それが実際に使える空気と体制になっているかです。調査の数字は、そこにはっきり差があることを示します。

勤務先の仕事と育児の両立支援制度について「活用しやすい」は19.7%
育児・介護に直面した場合に「仕事を続けることができる」と答えた割合は、「制度を活用しやすい」職場で46.3%に対し、「代わりに担当してくれる職員がいないので活用しにくい」職場では29.7%
出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」労働者調査・問22〜23/公表2025年7月28日

この数字を翻訳すると、両立できるかどうかを分ける要素は「制度の名前」ではなく「代わりの人がいるか」だ、ということです。休みを申請できても、抜けた穴を埋める職員がいなければ、周りに気兼ねして結局使えない。逆に代替が回る職場なら、同じ制度でも安心して使えて、続けられる見込みが大きく上がる。介護は満足度でも「人員配置」への不満がいちばん大きい仕事です。両立の可否も、突き詰めれば人手の問題に行き着きます。

執筆者ノエル
💡 ノエルの着眼点|「制度ありますか」ではなく「代替要員はどうしていますか」と聞く
事業所側が挙げる両立支援の最大の課題も「代替要員の確保」(54.2%)でした。

面接で「両立支援制度はありますか」と聞くと、たいてい「ありますよ」で終わります。それでは差が見えない。わたしが勧めるのは、「時短や急な休みのとき、代わりの人はどう手配していますか」と、運用のほうを尋ねること。ここで具体的な仕組み(応援体制・シフトの組み方)が出てくる職場は、制度が実際に回っている。言葉が詰まる職場は、制度はあっても現場が薄く、使いにくい可能性がある。事業所調査でも、両立支援の最大の課題は「代替要員の確保や配置が難しい」(54.2%)でした。職場自身が難しいと感じている部分を、面接でそのまま質問にする——これが、求人票では見えない両立のしやすさを測る一番の近道です。

ここは中立に。「活用しやすい」が約2割という数字は低く見えますが、これは介護に限った特有の問題とまでは言い切れません。代替要員の確保は、人手の要る対人サービス全般の課題でもあります。また、両立のしやすさは制度だけでなく、勤務地・通勤時間・職場の距離感など個々の事情にも左右されます。数値は調査年で動きますし、同じ法人でも事業所ごとに運用は違う。「約2割だから無理」ではなく、自分が応募する事業所で代替が回っているかを、面接や見学で個別に確かめてください。

最後に

介護職は子育てや家族介護と両立できるか。答えは「制度の有無ではなく、それを回す人手があるかで決まる」です。活用しやすい職場なら続けられる見込みは46.3%まで上がり、代替が回らなければ29.7%に下がる。求人票の「制度あり」で安心せず、代替要員の手配という運用まで確かめる——それが、長く続けられる職場を選ぶ現実的な物差しです。休みの取りやすさは定着にいちばん効く施策でもあります。あわせて確認してみてください。

参考データ(出典)
・公益財団法人 介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査」/公表2025年7月28日——労働者調査:勤務先の仕事と育児の両立支援制度を「活用しやすい」19.7%。育児・介護に直面した場合に「仕事を続けることができる」割合は「制度を活用しやすい」職場46.3%/「代わりに担当してくれる職員がいないので活用しにくい」職場29.7%。「勤務先の介護休業制度を知っている」20.0%
・同調査 事業所調査・問14——仕事と育児・介護の両立支援の課題(複数回答)1位「代替要員の確保や配置が難しい」54.2%、次いで「労働時間管理や人材配置が難しい」36.9%
※本文中の数値は上記調査に基づく概況です。数値は調査年により変動し、制度の運用は事業所により異なります。最新の詳細は公式資料をご確認ください。