介護現場で働く外国人はどれくらいいる?——受け入れ事業所15.8%という現在地
「介護は外国人ばかりになった」とも、「外国人なんてまだほとんどいない」とも聞きます。どちらの実感も、その人が見た狭い範囲では本当なのでしょう。わたしは介護職の転職サポートの仕事をしていて、この話題は印象で語られがちだと感じています。だから印象ではなく、全国の事業所に尋ねた数字から現在地を確かめます。数字がわかれば、これから同じ職場で働くかもしれない相手のことも、少し落ち着いて考えられます。
「もう当たり前」でも「ほぼいない」でもない
両極端の思い込みを、まず数字で挟みます。公益財団法人介護労働安定センターの令和6年度「介護労働実態調査」によると、外国籍の労働者を受け入れている事業所は15.8%。裏を返すと、約8割(78.8%)はまだ受け入れていません。「もう当たり前」というほど広がってはいない、というのが一方の事実です。
けれどもう一方で、この15.8%は前年度から2.4ポイント上がっています。割合としては小さく見えても、1年でこれだけ動くのは、はっきりした増加傾向です。「ほぼいない」で止めてしまうと、この勢いを見落とします。少数派であることと、増えていることは、両立している——ここが現在地を正確につかむ入口です。
数字で見る——受け入れ側の課題は「日本語」と「住宅」
では、なぜ8割はまだ受け入れていないのか。同じ調査で、受け入れの課題を尋ねた結果に答えがあります。
| 外国籍労働者の受け入れの課題(上位) | 回答した事業所の割合 |
|---|---|
| 利用者や他の従業員との意思疎通(日本語能力・コミュニケーション)が難しい | 36.5% |
| 受け入れのための住宅や寮などの確保が困難 | 23.6% |
| 仕事上のサポート役の職員の負担が大きい | 22.4% |
※介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査(事業所調査)」問18①・問19より。
いちばんの壁は「日本語でのコミュニケーション」(36.5%)、次いで「住宅・寮の確保」(23.6%)。
出典:介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査(事業所調査)」問18①・問19
この課題の顔ぶれが、わたしには一番の読みどころに見えます。上位を占めるのは技能や資格の話ではなく、言葉が通じるか、住む場所を用意できるかという、生活と現場運営の土台の部分。よく「外国人は介護の質が」と語られますが、事業所が実際に詰まっているのはもっと手前です。逆に言えば、この土台さえ整えられる事業所から受け入れが進む。増え方を握っているのは外国人本人ではなく、迎える側の準備だと読めます。
制度の面では、外国人が介護で働くルートは大きく分けて、EPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能の系統があります。入口は複数ありますが、どの入口で来ても、現場で最初にぶつかる壁が言葉と住まいであることは共通しています。
そもそも、なぜ介護がこれだけ人材の入口を広げているのか。背景には構造的な人手不足があります。「辞める人は減っているのに足りない」という人手不足の正体とあわせて読むと、外国人受け入れが進む理由が立体的に見えてきます。
ただし、数字は事業所ベースの平均にすぎない
受け入れの現状を前向きにも後ろ向きにも決めつけないよう、ここは中立に置きます。
最後に
介護現場で働く外国人は、「もう当たり前」でも「ほぼいない」でもなく、受け入れ事業所15.8%、前年度から2.4ポイント増という増加の途中にいます。増え方を決めているのは、言葉と住まいという受け入れ側の準備。だからこの話題は、外国人だけの話ではありません。受け入れ体制が整った職場かどうかは、そこで働くすべての人にとっての働きやすさに、そのままつながっています。
・公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査(事業所調査結果報告書)」(令和7年7月公表)——外国籍労働者の受け入れ状況(問18①:受け入れている事業所 15.8%/前年度比+2.4ポイント、受け入れていない事業所 78.8%)、受け入れの課題(問19:意思疎通が難しい 36.5%/住宅・寮の確保が困難 23.6%/サポート役の負担が大きい 22.4%)
※本文中の数値は上記調査に基づく概況で、事業所の回答による全国平均です。地域・サービス種別により実態は異なります。在留資格の制度枠組みは一般的な説明です。最新の詳細は各公式資料をご確認ください。
これは求人を見比べる人にこそ伝えたい視点です。日本語が通じにくい前提で人を育てようとすると、職場は手順書を整え、教え方を言語化し、確認の仕組みを作らざるをえません。その積み重ねは、外国人だけでなく日本人の未経験者にとっても効く。だから外国人を受け入れて定着させている職場は、「教える力」がある職場のサインとして読めます。逆に、体制のないまま人手が足りないからと受け入れて、サポート役の職員に丸投げしている職場は、その負担がやがて日本人スタッフのしわ寄せにもなる。外国人が働いているかどうかそのものより、受け入れを支える仕組みがあるかを見学で見る。国籍を越えて、その職場の育てる姿勢が透けて見える場所です。