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働き方

介護職の離職率はいま何%?——12.4%と「2年連続の低下」をどう読むか

「介護は離職率が高い」。転職を考え始めた人ほど、この一言が引っかかると思います。わたしは介護職の転職サポートの仕事をしていて、この数字に不安をあおられたまま応募をためらう人によく出会います。でも離職率は、一つの数字を丸のみするのではなく、推移とばらつきまで見て、はじめて意味がわかる指標です。ここでは公的な調査をもとに、いまの水準と読み方を落ち着いて整理します。

先に結論訪問介護員と介護職員を合わせた離職率は、令和6年度で12.4%。しかも令和4年度14.4%→令和5年度13.1%→令和6年度12.4%と2年連続で下がっています。「高止まりして人が辞め続ける業界」というイメージは、少なくとも直近の数字とは向きが逆。さらに事業所ごとに見ると離職率10%未満のところが約半数で、業界の平均より「どの職場か」の差のほうが大きいのが実態です。

「介護は離職率が高い」は、もう更新が必要な情報

まず、いちばん広まっている思い込みから外します。介護の離職率は、たしかにかつて高い時期がありました。ただ、それを「今もそうだ」と受け取ると、事実とずれます。公益財団法人介護労働安定センターの「介護労働実態調査」によると、訪問介護員・介護職員の2職種を合わせた離職率は、令和4年度が14.4%、令和5年度が13.1%、令和6年度が12.4%。3年で2ポイント下がり、直近は2年連続の低下です。

ここで見てほしいのは、12.4%という一点よりも下がり続けているという向きのほうです。数字の絶対値は「高い・低い」の主観で揺れますが、方向は動かせない事実。人が定着しなくて困っている業界なら、離職率はこう素直には下がりません。少なくとも「辞める人がどんどん増えている」という前提は、いまのデータでは成り立たないと考えてください。

数字で見る——推移と、職種ごとの違い

推移を表で並べます。市場全体の景気ではなく、事業所が実際に「辞めた人・入った人」を数えた値です。

2職種計(訪問介護員+介護職員)離職率
令和4年度14.4%
令和5年度13.1%
令和6年度12.4%(2年連続の低下)

※介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査(事業所調査)」問7より。離職率は令和5年10月1日現在の在籍者を分母とした1年間の割合。

令和6年度の離職率は12.4%。職種を分けると訪問介護員は11.4%(4年連続の低下)、介護職員は12.8%(2年連続の低下)です。同じ「介護」でも、在宅を支える訪問系のほうが定着はやや進んでいる。
そして採用率は14.3%。辞めた割合より、入った割合のほうがなお高い——出口より入口が広い状態が続いています。
出典:介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査(事業所調査)」問7

離職率と採用率を並べると、業界全体では今も入ってくる人のほうが辞める人より多いことがわかります。「人が抜けて縮んでいく職場ばかり」ではなく、入れ替わりながら回っている——この構図を押さえると、離職率という言葉の重さが少し変わってくるはずです。

平均より、事業所ごとの「ばらつき」を見る

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。12.4%という平均は、あくまで全国をならした値。実際の職場は、そのまわりに大きく散らばっています。

事業所ごとの離職率の分布を見ると、離職率10%未満の事業所が53.6%——およそ半数の職場は、離職率が1割を切っています。一方で3割以上という事業所も一定数ある。
出典:介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査(事業所調査)」図表1-1-3

つまり「介護の離職率12.4%」は、あなたが入る職場の離職率ではありません。半数近くは1割未満で回っていて、その裏側に人がどんどん抜ける職場もある。平均を怖がるより、平均のどちら側の職場かを見分けるほうが、あなたの働きやすさに直結します。離職率は業界を評価する数字ではなく、職場を仕分けるためのものさしとして使うのが正解だと、わたしは思っています。

執筆者ノエル
💡 ノエルの着眼点|個々の職場の離職率は、面接で「勤続年数」から逆算できる
全国平均は調べられても、応募先1件の離職率は公表されていません。だから間接的に読みます。

求職者から「この職場の離職率が知りたい」とよく聞かれますが、事業所単位の離職率は基本的に外には出ていません。そこでわたしがお伝えしているのは、面接で職員の勤続年数や年齢構成をそれとなく確かめることです。「長く勤めている方は何年目くらいの方が多いですか」と聞くと、定着している職場なら具体的な顔ぶれがすっと出てくる。逆に、答えが曖昧だったり「最近入れ替わりが多くて」と濁されたりしたら、平均の悪い側かもしれない、と一段警戒します。同じ調査では、中途採用者が直前の介護の仕事を辞めた理由の1位は「職場の人間関係に問題があったため」(24.7%)でした。数字を眺めるより、人間関係が続いている職場かどうかを面接で確かめる——離職率の話は、最後は目の前の職場の観察に落とすのが確実なんです。

もしいま「辞めたい」と思って離職率を調べているなら、率の話の前に、辞め方の順番を知っておくほうが落ち着けます。退職の法律上の枠組みや切り出し方は、介護職を辞めたいときにまず知っておくことをまとめた記事で整理しています。あわせて読むと、いまの職場を続けるか変えるかの判断がしやすくなるはずです。

ただし、低い離職率がいつも「良い」わけではない

数字は一方向に読むと足をすくわれるので、ここは正直に線を引きます。

ここは中立に。離職率が低いこと自体は安心材料ですが、低ければ無条件に良い職場、とまでは言えません。人が辞めないのは働きやすいからかもしれないし、地域に他の勤め先が少なく動きたくても動けないからかもしれない。逆に、離職率がやや高くても、結婚・出産や進学など前向きな理由での退職が多い職場もあります。数字の高低だけでは、その中身までは見えない。離職率は「まず疑う職場・まず候補にする職場」を絞る入口の指標として使い、最終判断は募集の背景や職員の様子を見て決める——この二段構えが、数字に振り回されないコツです。

最後に

介護職の離職率は、令和6年度で12.4%。令和4年度から2年連続で下がり、事業所の約半数は10%未満で回っています。「介護は離職率が高い」という一言は、いまのデータの前ではだいぶ古い。大事なのは平均に一喜一憂することではなく、自分が入る職場が平均のどちら側かを見分けることです。推移で全体の向きをつかみ、面接で目の前の職場を確かめる。その順番で見れば、離職率はあなたを怖がらせる数字ではなく、職場を選ぶための味方になります。

参考データ(出典)
・公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査(事業所調査結果報告書)」(令和7年7月公表)——訪問介護員・介護職員2職種計の離職率(令和4年度14.4%/令和5年度13.1%/令和6年度12.4%=2年連続の低下)、職種別離職率(訪問介護員11.4%/介護職員12.8%)、採用率14.3%、事業所ごとの離職率の分布(10%未満の事業所53.6%)、中途採用者が直前の介護の仕事を辞めた理由(「職場の人間関係に問題があったため」24.7%)
※本文中の数値は上記調査に基づく概況です。離職率は事業所の回答に基づく全国平均であり、地域・サービス種別・職種・事業所により実態は大きく異なります。最新の詳細は各公式資料をご確認ください。