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働き方

介護の面接でよく聞かれる質問と、準備の考え方——模範解答の暗記より「一貫性」

「面接で何を聞かれるんだろう」「気の利いた答えが用意できていない」——応募の直前で足がすくむ人に向けて書いています。わたしは介護職の転職サポートの仕事をしていて、面接前の相談をよく受けます。先にお伝えしたいのは、介護の面接で問われることは、だいたい決まっているということ。だから丸暗記ではなく、押さえどころを知って準備すれば、必要以上に怖がらなくて大丈夫です。

先に結論介護の面接で聞かれるのは、志望動機・前職の退職理由・体力やシフトへの対応・利用者への接し方・逆質問のほぼ5つ。採用側が見ているのは、うまい受け答えより「無理なく続けてくれそうか」です。だから対策の軸は模範解答の暗記ではなく、この5つの答えが自分の中で一本の線でつながっていること。志望動機と退職理由と働き方の希望が矛盾していなければ、それだけで十分伝わります。

「気の利いた模範解答」を用意しないと落ちる、は誤解

まず、いちばん多い思い込みを外します。介護の面接は、就活の集団面接のように流暢さを競う場ではありません。多くの現場が知りたいのは、話のうまさではなくあなたが職場になじんで長く働けそうかという一点です。実際、介護は人手を求めている業界で、面接は「ふるい落とす場」というより「入職後のミスマッチを互いに確かめる場」の色が濃い。だから、暗記した完璧な答えより、多少つたなくても自分の言葉で筋の通った話のほうが、ずっと信頼されます。

逆に言えば、盛った志望動機や借り物の言葉は、続けて質問されるとほころびます。面接官は毎回何人も見ているので、用意してきた台本と本音のズレには敏感です。ここを取り違えて「立派な答え探し」に時間を使うより、次に挙げる5つを自分の状況に引き寄せて整理するほうが、はるかに効きます。

よく聞かれる5つと、準備の考え方

定番の質問と、答えを組み立てるときの向きだけ整理します。例文の丸写しではなく、あなたの事情に当てはめて考えてみてください。

よく聞かれること準備の向き(何を意識するか)
志望動機「なぜ介護か」より「なぜこの職場か」。施設形態やサービス内容に触れると具体性が出る
前職の退職理由不満の羅列にしない。次の職場に何を求めるかに言い換える(後述)
体力・夜勤・シフトできること・できないことを正直に。無理な安請け合いは入職後に自分が苦しむ
利用者への接し方資格や経験より姿勢。わからないことは先輩に確認する、という素直さで十分
逆質問(何か質問は?)「特にありません」は避け、働き方を確かめる質問を1つ用意(後述)

※上記は一般的な面接で聞かれやすい項目の整理です。実際の質問・重視点は事業所や面接担当者により異なります。

この5つは、バラバラに準備すると矛盾します。たとえば「体を動かす仕事がしたい」と志望動機で言いながら、シフトの希望では負担の軽さばかり求めると、聞いている側は引っかかる。だから準備の核は、5つを貫く自分の軸を1つ決めること。「生活リズムを保ちながら長く働きたい」でも「未経験から手に職をつけたい」でもいい。その軸に沿って5つの答えをそろえれば、暗記しなくても一貫します。

退職理由は「不満」ではなく「求めるもの」に翻訳する

5つの中でいちばんつまずきやすいのが退職理由なので、ここだけ丁寧にいきます。背景として、公的な調査の数字を1つ置きます。

中途採用で入った介護職員が直前の介護の仕事を辞めた理由の1位は、「職場の人間関係に問題があったため」(24.7%)でした。
出典:介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査(労働者調査)」問7

つまり、人間関係を理由に辞めて次を探す人は、実際に少なくありません。面接官もそれは分かっています。だから退職理由で見られているのは、辞めた事実そのものではなく「また同じ理由ですぐ辞めないか」です。ここで前の職場の不満を並べると、たとえ事実でも「うちでも不満を抱えて辞めそう」と受け取られかねない。かわりに、その経験から次の職場に何を求めるようになったかに翻訳します。「連携を大事にする職場で働きたい」のように、不満を希望の形に置き換えるだけで、同じ退職理由がずっと前向きに伝わります。

執筆者ノエル
💡 ノエルの着眼点|逆質問は「評価される場」ではなく「あなたが職場を面接する場」
逆質問を、点を稼ぐ場だと思わないでください。あなたが確かめる番です。

「何か質問はありますか」を、うまいことを聞いて好印象を残す場だと構える人が多いんです。でも介護は求職者が選べる立場にある業界。逆質問は、あなたが職場を見極める最大のチャンスだと考えてほしい。わたしが勧めているのは、待遇より先に働き方の実際を聞くことです。「夜勤は月に何回くらいですか」「入職後はどんな流れで教えてもらえますか」「今回の募集は増員ですか、欠員の補充ですか」。答えが具体的なら、職場が自分たちの働き方を把握して開示できているということ。逆に言葉を濁されたら、そこは入職後の説明も曖昧かもしれない、と一段引いて見ます。逆質問で緊張するのは、立場を勘違いしているから。選ばれる側であると同時に、あなたも選ぶ側なんです。

この「選べる立場」という前提は、面接だけでなく求人選び全体の土台になります。介護の有効求人倍率が全職業平均の約3.6倍という数字を求職者としてどう読むかは、別の記事で整理しました。自分が焦って選ばされる側ではないと分かると、面接での落ち着きも変わってきます。

ただし、準備しても相性はある

対策の話を並べてきましたが、最後は正直に線を引きます。

ここは正直に。どれだけ準備しても、面接には相性という運の要素があります。落ちたとしても、それはあなたの人格が否定されたのではなく、その職場とタイミングが合わなかっただけのことが多い。だから受からせるために経歴や資格を偽ったり、できないことをできると言ったりするのは避けてください。その場を通っても、入職後に自分が一番苦しみます。面接は、良く見せ合う場ではなく、続けられる関係かを互いに確かめる場。素のままで合わなかった職場は、入っても長くは続きません。準備は「自分を偽る」ためではなく「自分を正しく伝える」ために使う——ここを外さなければ大丈夫です。

最後に

介護の面接で聞かれることは、志望動機・退職理由・シフト対応・利用者への接し方・逆質問のほぼ5つ。模範解答を暗記するより、この5つを貫く自分の軸を1つ決めて、答えがちぐはぐにならないよう整えるだけで、伝わり方は十分に変わります。退職理由は求めるものに翻訳し、逆質問では遠慮なく職場を確かめる。うまく話すことより、正直に筋を通すこと。まずは志望する職場について、聞きたいことを3つ書き出すところから始めてみてください。

参考データ(出典)
・公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査(労働者調査結果報告書)」(令和7年7月公表)——中途採用の介護労働者が直前の介護関係の仕事を辞めた理由(「職場の人間関係に問題があったため」24.7%)
・厚生労働省「一般職業紹介状況」(介護関係職種と全職業平均の有効求人倍率)
※本記事の面接の質問例・準備の考え方は一般的な整理であり、特定の合否や成功事例を示すものではありません。実際の質問内容・評価は事業所や面接担当者により異なります。数値は上記公的資料に基づく概況です。